いつかのMerry Xmas
こいつの気まぐれにはついていけない。

「あったまってフルートの方が、いい音がする」

ぼそりと呟いて立ち上がる。

「ちょっとアンタっ!
 まさかそのために私に二時間も吹かせたんじゃ――」

「何が悪い」

しれっと言って、勝手に歩き出す。

――最低だ、最低。

誰かが、イチローのことドSとかなんとか言ってた気がするけど。
そういう問題じゃなくて、人として躾けなおしてもらったほうが良いのではないかと思ってしまう。

「急がないと、楽器が冷める」

半ばふてくされている私の手を引いて、イチローは強引に歩き出した。

――はぁ。
  そうやって羨望の眼差しをこっちに向けるのは止めてください。

あ、あげるから、今すぐ。
コイツにノシつけて、誰にでもあげるから。


受け取って、是非。
返品不可の方向で。

< 29 / 83 >

この作品をシェア

pagetop