いつかのMerry Xmas
「素面には見えないけど――」

「だろ?」

介抱してくれないと、倒れるじゃん、なんて勝手なことを言いながらポケットに突っ込んでいる私の手に自分の指を絡めてきた。


「――なっ――」

「もう、クリスマスイブかぁ」

慌てふためく私のことなんて、まるで眼中にないかのように、ぼんやりとそんなことを呟いている。

雪が降ればいいのに、なんて、ロマンティックなのか嫌がらせなのか見当のつかないことを彼が呟くから、どう返せばいいのか分からず戸惑っている間に、タクシーが来て、私たちを彼のアパートまで送ってくれた。
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