続・女好き彼氏
あたしはそんな悠雅の眼差しに凍りついてしまったみたいで、身体も動かなければ声も出せない。
そして悠雅はあたしを睨みつけたまま
ゆっくりとあたしの方に歩み寄る。
「何しに来たんだよ………お前」
ドクンッ。
あたしの心臓がまた大きく脈を打つ。
あたしは初めて…………悠雅をこんなにも怖いと思ったかもしれない。
何も言えないあたしに一歩一歩近付いてくる悠雅。
あたしは自分で気がつかないうちに後ろに下がっていたみたいでもう後ろには壁があって後ろに下がることが出来ない。
「あ、あの………先輩、あたし……」
すると後ろから戸惑う女の子の声が聞こえた。
その声を聞いて悠雅はピタリと立ち止まると
女の子の方に振り返る。
「ごめんごめん。今度はちゃんと前見て歩けよ?」
その声はあまりにも温かくて
さっきあたしにかけた声とは全く違ったものだった。
女の子はホッとしたのか『はい!』っと元気よく返事をすると慌てて保健室から立ち去った。
バタバタと遠ざかる女の子の足音。
女の子が立ち去ってもあたしから背中を向ける悠雅。
「ゆ、悠雅……─」
震える唇であたしは悠雅の名前を呼ぶ。
だけど……………
「俺のこと、気安く呼ばないでくれる?」