‡いとしきみ‡
中の温度とは違い、外はやっぱり寒い。
真冬だというのに、キナちゃんの格好は薄着に近い。 
 
『バイトあるなら着込んで来ればいいのに』
 
 
そう思いつつも、キナちゃんにジャケットを掛けてやる。
 
 
「これ、羽織っときなよ」
 
「え?…でも、優夜君寒くなるよ?」
 
「いいよ、平気。俺丈夫だし」
 
 
結構やせ我慢なのだが、キナちゃんが風邪ひくよりマシだろう。
 
しばらく俺のジャケットを見つめた後、キナちゃんは、
 
 
「ありがとう」
 
 
と笑った。
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