‡いとしきみ‡

「悪ぃ稔、慎二。ちょっとあっち行くわ」
　
　
美紀達の方を指し、そう告げると、慎二が
　
　
「知り合い？俺見た事無い子だね」
　
「あの子が優夜の彼女なのよ慎ちゃん」
　
「へぇ〜。可愛いじゃん！」
　
「まっ、んな訳だから、ちょっと行って来るわ」
　
「「おう」」
　
　
スタスタと美紀達の方へ足を進めると、急に美紀が嫌そうな…悲しそうな顔をした。
　
不思議に思い、足を速めて近付いて顔を見ると、美紀は泣きそうな顔をしていた。
　
何があったのだと、うろたえている俺に、美紀がポツリと
　
　
「さっきの子…優夜と腕組んだ…」
　
　
そう、呟いた。