幕末異聞ー参ー


「…左之が難しい日本語使ってる」

「何!?驚くのそこ!!?」

今まで原田が騒ぐか声を張るしかできないものだと思っていた永倉は、饒舌な原田の姿に目を頻りにしばたかせていた。



「いや、悪い。あんまり珍しかったから…。
話を戻そう!」

弛んだ空気を変えるために、永倉は一つ咳払いをする。

「俺も左之と同意見だ。そこでだ。俺は会津本陣の松平公に近藤さんの目に余る行動を咎めてもらおうと思ってる」

急に周囲に目をやり、声を潜めた永倉。


「松平公に!!?」

思考の片隅にもなかった大物の名に、原田は飛び退く。
冗談だろ?という目で永倉を見つめた原田であったが、その顔は真剣そのものであった。

「俺は近藤さんが今までの振舞いを反省しない限り、新撰組の隊士を続ける気はない」

永倉は小声だが、はっきりとした口調で原田に宣言した。



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