十字架
看護婦さんの返事はなかった。

私はフェンスから手を離した。
そして、赤い…真っ赤な血を地面に染み込ませた。

『ごめんなさい。看護婦さん…』

病院の屋上から飛び下りた私の体は地面が固く、衝撃を吸収できずに所々、ヒビやキズが私の体にできた。

私が落下した直後に聞こえたのは看護婦さんの悲鳴が最後だった。
そして…、

私の見舞いにクラスメートは姿を見せなかった。
病院にきて、止めようともしなかった。


葬儀に来ていたそのクラスメート達は帰り際の帰路でしゃべっていた。


―こんな奴、クラスにいたっけ?

と、口々に…

『きっと、私は地獄に落ちる…

でも、彼らも引きずり込んでやる…。』

   終
< 7 / 81 >

この作品をシェア

pagetop