Snow Princess ~雪の華~
その日の夕方、三人はようやくマリンを見つける事が出来た。
いや、見つけたというのは少し違うだろうか。
マリンは見知らぬ男に連れられてきた。
三人はマリンは市場からあまり離れたところには行っていないと思っていたが一向に見つからず、正式に騎士団に捜索依頼をだそうかと言ったところで、「みんなー」というあまりに能天気な声が響いた。
リリアはマリンを見るなり駆け寄って、人目もはばからずに大声で説教を始めた。
「本当にありがとうございました」
そっとリリアたちから離れ、シーモアはひっそりと男にお礼を言った。
男は明るくカラカラと笑った。
「いいってことよ。俺も楽しかったしな。まぁ、だいぶ財布が寂しくなったがな」
「それは誠に申し訳ありません。此処のオーディクス家に請求してくだされば全額お支払いします」
男は目を丸くした。
「あの騎士団一家のオーディクスかい! やっぱすごいお嬢様だったんだ、あの子」
「いえ……そういうわけではないのですが…」