Snow Princess ~雪の華~
男は口を濁すシーモアの頭をポン、と叩いた。
「いいさいいさ。いくら貴族様とはいえ子供に請求したりしねーよ」
「え、でも…」
男は明るく笑い、シーモアに耳打ちした。
「さ、じゃあ俺は帰るから。お嬢ちゃんによろしくな〜。兄ちゃんもあの子には気をつけろよ? 惚れたら大変だぜ?」
「お、大きなお世話ですっ!」
シーモアの怒号に男は後ろを向いたまま手を振り、歩き去っていった。
シーモアは鼻息荒く男を見送り一つため息。
キーファと二人がかりでリリアをなだめ、泣き出したマリンが落ち着くまで待ち、四人は城へと帰っていった。