Snow Princess ~雪の華~
「何があったの?」
「マリンに話した。」
何を、とは言わずとも大体は想像がつく。
リリーが察していることを知りながら、シャーマは敢えて言葉に出した。
「隣国に嫁ぐことをだ。それに伴い教育内容も変えることも」
「どうせ決め付けた風に言ったんでしょう?
まだ完全には決まっていないことを言わずに……あの子に全部押し付けたんでしょ!」
「少なくとも、選択の余地はないとは言った」
シャーマはリリーの目を見もせずにあっさりといった。
そこから先は大体予想がついた。
きっと信じられない、いや信じたくないことを突きつけられた所為でここで暴れたのだろう。
「あの子が嫌がると目に見えていたでしょうに…どうして…」
「同じ議論を繰り返すつもりはない。だがもう一度言う。
国を保たせるためだ」
それだけを告げると、シャーマは本を一冊棚に戻して出て行った。