Snow Princess ～雪の華～

「何が、とははっきりと申し上げられません。私にもわからないのですわ。
でも、ただの操り人形で嫁ぐのはごめんです！」


シャーマは頭を強く殴られたような顔を、リリーは嬉しいような困ったような複雑な顔をした。


「そうか……ならいい。時間をやろう。１人でしばらく考えるといい」

「…ありがとうございます」


そうして一礼して、マリンは部屋を出て行こうとした。
しかし、すぐに父に呼び止められた。
少しむっとして振り向く。


「その間、花嫁修業をかねて城を離れて暮らしてもらう」

「はぁ？」


丁寧な物腰なんて言葉は一瞬で吹き飛んだ。
あからさまに顔をしかめ、父を見る。

マリンの態度に彼女と同じような顔をする者がいようと気にしない。