さくら木一本道
(勇次)「銀拳って… あの格闘アクションのやつか?」
(龍巳)「おお」
「銀拳」とは、某有名ゲーム会社から発売されている人気格闘ゲームである、
もちろん格闘ゲームであるが故に、女性人口は少ない。
(勇次)「女の子は格闘ゲームなんてやらないだろ…」
(龍巳)「そうか? 楽しいのにな… 仕方ない、俺らだけでやるか」
(勇次)「あ、あぁ…」
さくらを諦めて、二人は勇次の部屋に向かって歩き出した。
(龍巳)「ほら、銀拳用に「プレシテ3」持ってきたぜ」
(勇次)「マジ!? マジで「プレシテ3」!?」
(龍巳)「勇次ん家「プレシテ」しかないだろ? だから持ってきたんだよ」
(勇次)「うわ、マジでか!? 最先端!!」
(龍巳)「そうか?」
‐スッ…‐
(勇次)「ん?」
(龍巳)「ん?」
後ろから襖が開く音が聞こえたしたので、二人は立ち止まって後ろを振り返ると、さくらの部屋の襖が閉まった。
‐バタンッ!!‐
(勇次)「……」
(龍巳)「……」
(龍巳)「……さくヤン覗いてたよな…?勇次どうする?」
(勇次)「俺もわからねぇよ… 聞くな」
(龍巳)「……気付かなかったふりするか」
(勇次)「……あぁ…」
勇次と龍巳は前を向いて歩き出した。すると―
‐スッ…‐
また襖が開く音が聞こえる。
(勇次)「……」
(龍巳)「……」
勇次と龍巳が振り返ると、顔半分だけを出して覗いているさくらが見えた。
隠れることなく、ジーとこちらを窺うさくらは若干のホラーを感じる。
(勇次)「……さ、さくらどうした…?」
顔半分のまま、さくらは言うのだ。
(さくら)「……銀拳… なん作目…?」
(龍巳)「……「銀拳5」だよさくヤン」
(さくら)「ふ、ふーん… その…なんだっけ…「清八郎」だっけ?「間島 清八郎」だったかな?」
(龍巳)「「間島 清八」だよさくヤン」
(さくら)「そう!! い、イヤ… 私は知らないんだけどね? 「清八」ってあの「白髪」の「てっぺんハゲ」の奴かしら… い、イヤ、私は知らないんだけどね? 必殺技は「青龍拳」…」
(龍巳)「その通りだよさくヤン」
(さくら)「あ、合ってた? い、イヤ、私は知らないんだけどね? コマンドは確か「ヨコ、ヨコ…」
(勇次)「うるせぇぇぇぇ!!!!」
ついに、勇次がツッコミを入れた。