さくら木一本道
(龍巳)「いや、「かかし」はスゴいぞ勇次、ほとんどのキャラのコマンドが使える」
(勇次)「マジか!? 見た目とは裏腹に強いんだなコイツ!!」
(龍巳)「いや、だけどな…」
(勇次)「?」
‐レディ… ファイト!!‐
龍巳の意味ありげなセリフとともに、戦いのゴングが鳴った。
(勇次)「うおッ!? 始まった!!」
(龍巳)「勇次!! 「ヨコ」と「マル」を同時に押すんだ!!」
(勇次)「「ヨコ」と「マル」!? ちょっと待て… 「ヨコ」と「マル」…こうか? おぉ!! 敵に背中向けた!!」
(龍巳)「そしたら「サンカク」と「シカク」と「上ナナメ」を同時に押して「サンカク」「シカク」「サンカク」「シカク」を交互に押せ!!」
サポートしてくれているのはありがたいが、なにを言っているのか訳が分からない、勇次の頭はパニックになるだけだった。
(勇次)「はあ!? 何て言った!? 「サンカク」と「マル」…「ナナメ」って何だ!? 「マル」「シカク」… わかるかぁぁぁ!!!」
勇次が適当にボタンを押すと、「かかし」は「清八」の周りを挑発しながらグルグルと回る。
(勇次)「何だ!? 何なんだこの動き!!」
(龍巳)「勇次早く逃げろ!!!」
(勇次)「だからどうやって!!?」
(さくら)「遅い!! 秘技「国士無双」発動!!」
‐ウオォォォォ!!!‐
さくらの掛け声と素早いコマンドとともに、ゲーム内の清八が騒ぎ始めた。
(勇次)「んなぁ!?」
(さくら)「まず敵のガードを解いてから「1、2ジャブ」からの「蹴り」で壁まで飛ばす!! そして「上下コンボ」でガードを無効にさせつつ「強攻撃」のコンボ!!!」
‐バキィィィ!!! KO!!!!‐
(さくら)「国士無双!!!」
勇次は何も出来ず、対戦はあっという間に終わってしまった。
そもそも「かかし」は強いキャラではなく、ましてや初心者が扱うようなキャラでもない、
龍巳の「いや、だけどな…」の言葉の意味は、
「かかし」は強くはないけど、使いようによっては使える。
と言う意味だったのだ。
勇次に勝利したさくらは、コントローラを持ったまま両手を上げてガッツポーズをしている、
全くもって可愛さも優しさもあったもんじゃない、
(勇次)「お、面白くねぇ…」
(さくら)「アンタどんだけ雑魚なのよ、今日からアンタを「銀拳のゴミ虫」とよんであげるわ」
(勇次)「ふざけんな!! それよりお前!! 手加減してくれるんじゃなかったのかよ!!」
(さくら)「ふふん、虎は鼠を狩るときも全力を尽くすと言う」
(勇次)「初心者に全力尽くしてどうすんだ!!」
(さくら)「鼠は黙って死んでなさい さて… 「メインイベント」はこれからよ」