さくら木一本道
(勇次)「大変なんだなマネージャーも…」
(龍巳)「そう!! 疲れて帰って来てもゲームなんてやる気力ないからさ、だったらさくヤンに貸してた方が有意義だと思って」
龍巳がゲームを押し付ける理由はこの事らしい、彼なりにさくらの力になろうとしたのだろう、
(勇次)「そうか… じゃあしばらく預かっとくわ」
(龍巳)「ああ…ヨロシクな、オイさくヤン!!」
龍巳は、興奮しながらソフトを漁っているさくらを呼んだ。
(龍巳)「俺は帰るけど、そのゲームは置いてくから、好きに遊んでくれ」
(さくら)「マジで!!? いいの!!?」
(龍巳)「ああ‼」
ウインクして親指を立てる龍巳、
こういう行動を恥ずかしいと思わないのが不思議である。
(さくら)「ナイスだわ「アホパツ」!!」
(龍巳)「「アホパツ」?」
(さくら)「アホなうえに茶髪だから「アホ髪(アホパツ)」よ」
(龍巳)「わははは!! なるほど、それで「アホ髪」か、よし!! これから俺のアダ名は「アホ髪」だ!!」
(勇次)「それでいいのか龍巳…」
あからさまに悪意しか感じないアダ名なので、勇次は龍巳に問いかけるが、龍巳は、
(龍巳)「グッジョブだ!!」
どうやら気に入ったらしい、やっぱりバカだ。
(龍巳)「じゃあ帰るぞ」
(勇次)「玄関まで見送ってやるよ」
(龍巳)「おう、サンキュー」
(さくら)「私も見送ってやるわよアホパ………あっ!!」
いきなりさくらは、何かを思い出したかのように大声をあげた。
(勇次)「どうしたさくら?」
なにかと思い勇次はさくらに話しかけるが、勇次を無視して猛スピードで玄関へと下っていった。
状況が分からず呆然と立ち尽くす勇次と龍巳、すると、玄関からさくらの叫び声が聞こえてきた。
(さくら)「やっぱしぃぃぃ!!! 玄関にアイス置きっぱだぁぁぁ!!!」
どうやら食べかけのアイスが、玄関に置き忘れていたことを思い出したらしい、
勇次と龍巳は玄関に降りると、茫然と立ち尽くしているさくらが居て、持っているアイスを見ると、美味しくなさそうな液体クリームになってしまっていた。
(さくら)「アイスが… 私のアイスが…」
(勇次)「「私の清八が、アイスが」と忙しいヤツだな」