さくら木一本道

(お婆さん)「華麗の華と顔面の顔と漢字で書いて「はなづら」と読むんだよ?」



(さくら)「え? あはは…」



(お婆さん)「お嬢ちゃんが持ってる狐は子持ちだから雌の方ね。 こっちが雄の方」



そういってお婆さんは雄の方のストラップを手にとって見せた。

そして、そのストラップをさくらの手に渡すのだ。



(お婆さん)「平日にお客さんが来るなんて珍しいからねぇ~ これもあげるよ」



(さくら)「あっ! じゃあお金…」



(お婆さん)「フフ… いらないわよ。 おばあちゃんからのプレゼント」



(さくら)「あ、ありがとうございます…」



(お婆さん)「一個はお嬢ちゃんの大切な人にあげるといいわ、 いつでも心が通じ合えるおまじないよ。 お嬢ちゃんはボーイフレンドとかいないの?」



(さくら)「ハハ… いないデス…」



(お婆さん)「あら、お嬢ちゃん可愛いのにねー… この華顔神社はね「縁結び」の神社としても有名なの」



(さくら)「へぇー…」

(地元に住んでるけど知らなかったわ…)



(お婆さん)「まだ上へ行く階段があるから行ってごらん、一本だけしかない大きな桜があるから、今が満開に咲いていてキレイよ」



(さくら)「一本だけしかないんですか?」



(お婆さん)「そう、一本だけ 「一本桜」って名前なんだけどね。それが「縁結びの木」だから、今日は誰も来てないから静かだよ?」



(さくら)「…弁当食べるにはベストだわ…」



(お婆さん)「なにか言った?」



(さくら)「い、いえ なんでもないです… じゃあ行ってみます!!」



(お婆さん)「行ってらっしゃい 良い縁があることをね」



(さくら)「ハイ!! ありがとうございます!!」



さくらはお婆さんに一礼し、その「一本桜」へと向かっていった。

建物を出て右側がさっき登ってきた階段、左側にはまだ上へ向かう薄暗い道がある。

さくらは少しばかりの気味悪さを感じたが、気にせずその「一本桜」へと向かう左側の道を登り始めた。



(さくら)「……」



上へ登るにつれ、周りの木々が日を隠し、徐々に暗くなっていく、

しかし、階段を登りきるとそんな事は無かったかのように太陽が顔を出した。

眩しさに目を細めるさくらだが、その目を開けると目の前にピンク色の光景が広がっていた。

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