狂暴わんこのひとり占め。



「なんで、いきなり」


「まあまあ後で分かるよ。着替えて着替えて」


今度は何を企んでいるんだ。


とりあえず私は灯夜の言う通り、着替えることにした。


すると灯夜が


「あ、今日 暑いらしいから」


「……そう。分かった」


いつのまにか天気予報でも見たのかな…?


深くは気にせず、私は素直に別の部屋へと着替えにいった。


「ちょっと待ってて」


「りょーかいっす」


灯夜はひらひらと軽く手を振って、笑顔で私を見た。


あの笑みは怪しくて仕方がないんだけど、考えても分からなそうだから諦めることにした。


あいつの言う通りにしてれば、そのうち企んでることも分かってくるだろうし。


何日間ここにいるのか知んないけど、あいつが満足してさっさと帰ってもらうためだ。

ガマン、ガマン。




「さて、と。何着ようかな」


暑くなるなら、露出があった方がいいわよね?


散歩ってことは歩くんだろうし、動きやすい格好で。






「…よし」


さほど凝らず、化粧も軽く。

化粧道具を片付けていると。


「ふーん、生足にニーハイ、肩だしねぇ」


「なっ……!!

なんか文句ある?ってか勝手に入んないでよ!」


「文句ってか……
逆にあんたが困ると思うんだけど」


「どーゆう意味?」


「べっつにー?てか準備できたんなら早く行こ」


ほんとに自己中なんだから…。


まだ何考えてんのか全然わかんないし。



出掛ける仕度をしてから、玄関へと向かう。


すると、先に待っていた灯夜が口を開いた。


「ま、せいぜい気をつけて」


「何を?」


「じゃ、行くよ」


「……うん」






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