狂暴わんこのひとり占め。






おそらく、この愛美とやらは、灯夜が私の家に転がり込む前に騙した女の子だ。


その時コイツは“カズ”って名乗ってたんだろう。


偽名だろうな。タチ悪い奴…。



「おま…何しに来たんだよ?」


「……カズに会いにきたの」


「追いかけてきたのかよ…。」



灯夜は呆れ顔。



「あたし……、カズのこと…好きになっちゃったの…」



愛美(←呼び捨て)はポロポロと涙を流し始めた。

あたしはどうすりゃいいんだ。



「…そんなこと言われても、どうもできない。 愛美は分かってくれてると思ってたのに」



やっぱこの子も最初は可愛い顔に騙されたのかな?



「でも!! 好きになっちゃったんだもん…っ! カズがいなくなったら あたし、寂しくて…」


「悪いけど、帰ってくれる? 俺は愛美のこと好きじゃないから。 面倒くさい女は無理」


「……っっ!!」


「ちょ、アンタそれは言い過ぎ…!」



他人事ながらも、つい口出ししてしまった。

だっていくらなんでも 自分を好きだって言ってくれてるコにその態度はないでしょ!?



「だから俺らバイバイ。 あと、紗希に逆恨みはナシね。 コイツ俺のいとこだから」


「は?」



待て待て。初耳だ。



「そんなこと言われなくたってこんな所、二度と来ないわよっ!!」



こんな所?



「カズって最低な男!!」


――バチンッ!!


うわ、痛っ…。



「……わり」



灯夜は左頬をおさえながら、小さな声で呟いた。


愛美は泣きながらマンションを出く。



「…………」


「……いてー…。 紗希のパンチの後は辛い」


「…馬鹿じゃないの」





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