この涙が枯れるまで



何かの見ま違いかな。


百合と滝川先輩が居るはずがない。
でも僕は百合を間違えたりはしない。
僕にまたあの嫌なモノが蘇る。

百合と滝川先輩の写真。
百合の寝言。
百合の嘘。

このとき、僕の世界が止まった。




夕方になると、さっきの人混みが嘘のように、学校はガラーンとなっていた。


僕は結局、百合と回れなかった。


後片付けをする僕。
そこに百合が現れた。


『優君?たこやきどうだった?』



何もなかったかのように笑顔で話かける百合がとても嫌に感じる。
でも僕は我慢をして、笑顔で答えたんだ。


『めっちゃ流行った!!』


『すごいじゃん!』




僕達の会話を横目で見る一人の女の子。


それは沙紀だ。



僕は沙紀に呼び出された。


何と無く話の内容は分かるんだ。
多分百合の事。


『あのね、百合の事なんだけど…』


予想的中。
沈んだ表情を浮かべる彼女。
今から話す内容のことを語っているようだ。


『うん…知ってるよ』


『知ってるの?じゃあ何で言わないの?』


『何でだろ…好きだからかな』


好きなのは嘘じゃない…


でも僕が弱い人間だから、僕は百合に何も言わない。


今の関係を壊したくない。


これが本当の理由。


『百合は…鈴木君を利用してるだけだと思う…ヒドイ言い方だけど』


『…うん、ありがとな…沙紀』



《百合は鈴木君を利用しているかもしれない》という言葉に僕は揺れた。


多分百合は僕を利用しているかもしれない


でも百合が僕の事を一番って言ってくれたから僕は信じる。



僕はバカでしょうか?





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