シルバーウルフ -Is this love?-
そんな俺の準備の横。


メイはそこがずっと前から


自分の席のように


俺のベッドに腰を掛けている。





俺はジャンパーのファスナーを閉めた。


部屋の扉へ踏み出した。


同時にメイが立ち上がった。


目が見えているかのように扉の前まで進んで立ち塞(ふさ)がった。




そして……




メイは両手を翼のように広げた。









「なんのつもりだ?どけ。」

俺は右手で強引にメイの左翼をたたませた。


そんな俺の右肘(みぎひじ)を左手で掴んだメイ。



俺の腕を伝わせて滑りゆくメイの左手。



それは俺の人差し指にたどり着いた。



人差し指を自分の髪まで運ぶメイ。




何度も……、何度も……、触れさせて、上下にガイドさせた。




俺の心に稲妻が突き抜けた。


それは、産まれて初めての感覚だった。








「ゥー……、」





「ゥー……、ゥー……、」






メイが切ない鳥の鳴き声みたいな声を出した。




“人を殺したらダメ”




不思議に俺にはそう聞こえた。





俺はメイの翼を振り切り部屋を出た。






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