シルバーウルフ -Is this love?-
階段を降りる。

後ろから追い掛けてくるメイ。

階段の手すりのガイドで、メイの降りてくるスピードは早い。



2人の地響きのような足音で医院から顔を出した裕太。



俺とメイに向けられる、冷ややかな傍観者(ぼうかんしゃ)のような瞳。





俺はその冷たいラインの延長線で立ち止まった。



「じゃぁ、行くわ。」

裕太に告げた。



栄養不良の唇からはなんの返事も返ってこなかった。







メイが俺の背中に追いついた。

黒いジャンパーの袖を強く引っ張る。




「ゥー……、ゥー……、」

声を発しながら首を振るメイ。


微笑みながら首を振る。



“やめよう?部屋に戻ろう?”


そんなカンジに聞こえた。







裕太は何も言わないまま医院に戻った。

そんな裕太の瞳には俺を見捨てるような諦めが帯びていた。

俺は裕太の背中を追い掛けなかった。






俺は、振り向いた。メイの頭を撫でてやった。






あの日、南部の息子の頭を撫でた時のように意味がないワケでなく……







メイが微笑みをくれたお礼のつもりだった。










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