シルバーウルフ -Is this love?-
「裕慈……、あなたがその子を医院に連れて帰って、住まわしたりしてるから、神父が私をここに来させたのよ?言ったでしょ?神父は怒ってるって。」

俺の“知らない何か”

裕太は俺のことを知り過ぎて

俺は裕太のことも、俺自身のことも知らなさ過ぎる。

それは……、久しぶりに会った裕香の前でも、俺は全く同じだった。






「裕慈、今日、気が付いたんじゃない?痛みを感じたし、傷が塞がるのが遅いって……。」

ソファーに寝転がったままの俺。

図星(ずぼし)って顔色だけは何とか隠した。







「私は人を“愛する”と神の能力を宿し、裕慈は人を“愛する”と悪魔の能力を失うの。」


裕香は一呼吸、置いて続けた。


「その逆もね……、私は“憎悪”を抱くと神の能力を失い、裕慈は“憎悪”で悪魔の能力を宿してるの。」

 “神は悪魔で、悪魔は神。

  表裏の定義。

  神父の究極開眼。”

裕香の言葉で俺はそれを思い出した。

言い終えた裕香は長い足を組み替えた。



俺は裕太の冷ややかな傍観者(ぼうかんしゃ)のような瞳を思い浮かべた。


次に


メイの「ゥー……、ゥー……、」と微笑みながら首を振る姿を思い浮かべた。

……その瞬間、さっき裕香に完璧に撃ち抜かれた眉間に激痛が走った。







< 157 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop