シルバーウルフ -Is this love?-
「“そんなことより”高田はどこだ?」

俺は裕太の受け売り。“そんなことより”を付けて話をはぐらかした。



「下の車の中で手錠で繋がれてるわよ。高田はとりあえず、不法就労斡旋罪で連れて行くわ。叩けば埃(ほこり)がたくさん出るでしょうね。裕慈が殺しで容赦しないように、私は正義で容赦しないから。」

裕香の瞳の黒が深くなった。



「叩いて出た埃で、文科省の大臣は恐らく変わるわよ。裕慈、変わった後の次、最有力候補って誰か知ってる?あの“裕真(ゆうま)”よ?いよいよ施設出身から大臣が出るのよ。」

頭が飛び抜けてデキの良かった裕真。俺が小学校に入った年に大学受験を迎えていた。



世界から見れば地方大学。しかし、日本では1番の大学。そこに合格した。入学と同時に施設を出ていった。



神父の“表”の秘蔵(ひぞ)っ子だった裕真。



“裏”の秘蔵っ子だった俺。




裕香がここへ来た理由。メイのことだけじゃない。一瞬で不明確な確信が俺の頭に駆け抜けた。








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