シルバーウルフ -Is this love?-
ゆっくり歩いて1時間と30分。ようやく、たどり着いた医院。



灯りが漏れていた。俺は扉を開けて入った。医院を覗いてみた。


何故か頭と右の二の腕に包帯。

そいつを幾重(いくえ)にも、ぐるぐると巻いている半袖の白衣の裕太。


負傷中のニセ医者。猫の手も借りたい。仕事を手伝わされている即席看護師のメイ。


真夜中の処置台。患者の長い生足。罪の意識の重さはそこからは垣間見れない。


俺は医院に入った。冷蔵庫からペプシを黙ったまま抜いた。医院の端の椅子に腰を掛けた。






私を産んでくれてありがとう。

私なんて産まれてこなければよかった。


人はこの世に生を宿して、それぞれの想いを抱いて人生を進む。






あなたを産んで幸せ。

あなたを産むんじゃなかった。


人生を進んだ女は、やがて自分も腹を痛めて“命”を産み落とし、神にも悪魔にもなる。



 …時に
 …時に

  産まれずして
  幸せを掴む現実だって
  この世にはある。

  堕胎する生物、人間。

  それは“宗教”“道徳”“倫理”

  そんなもんで

  割りきれず、やりきれない

  人間の現実なのだ。





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