シルバーウルフ -Is this love?-
チャイニーズ嬢に近付いた。

微笑んだままでいる。

視点と焦点が定まっていないのか分かった。

それはクスリでなく盲目だからだと分かった。





「何故、笑っている?」静かに訊ねる俺。



微笑みを崩さずに、何も答えないチャイニーズ嬢。





「日本語が分からないのか?」

黙ったまま、首を横に振る。


どうやら……


言葉も話せない。


いや


声を出せないのだろう。







俺は殺し屋だ。


殺して欲しいと望む人間を殺すのは、殺し屋の仕事でない。

恐怖におののき、逃げ惑う人間を撃ち抜くから“恐怖”商売として成り立つのだ。


それに殺し屋は殺し屋なりの“美学”もある。




俺はリボルバーを降ろした。



漆黒の長い髪のチャイニーズ嬢は、微笑んだままだ。




俺は裕香のあの日の微笑みを思い出した。


裏切りの裕香の微笑み。


俺をこんなカンジにした裕香の微笑み。







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