蜃気楼。
「何。」
「なーんでもなーい。」

と言って、恋愛ゴッコみたいな
ことしてるTVドラマに目を移した。

「この俳優サン、新人かしらぁ?」
「…ベテランじゃぁ、ないだろーなぁ。」

演技的に。

「なんかねーの?」

チャンネルをかえるけど、
なんもなくて結局またあのドラマ。

「暇。」
「あー、もう少しでユミ来るからぁ。」
「はぁッ?」

ユミって言うのは、母さんの友達。
若い旦那と14歳の娘を持つ一児の母。
なのにいつまでも若々しく、
娘と並べば、少しとしの離れた姉妹にみえるほど。

丁度その時、

「李歩ぉー!!」

ドタドタと廊下を歩く音がした。
リビングとドアを勢いよく開け、立っているのは
ユミさん。
って、はやくねッ!?

「あら、尽。今日はどーしたの?」

俺がいるのが珍しかったのか、
目を見開いていた。

「別にどーもしてないですけど。」

思わず敬語が出てしまった。

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