溺愛キング
そんな泣きそうな顔すんな。


『矢耶…』


名前を呼ぶとぴくっと肩が揺れた。

肩を抱く手の力がぐっとはいる。


『気にすんな』


またちらっと俺を見る。


『俺は矢耶だけだ』


矢耶の耳元でぼそっと呟いた。

周りが煩過ぎて聞こえなかったかもしれない。





「うー…ん………矢耶も藍だけっ」


そう言ってニコッと微笑んだ。


『可愛いこと言ってんじゃねぇよ』


俺は矢耶の髪をワシャワシャ撫でてまた歩きだした。


「藍照れてるー!!」


あはは、と笑いながら俺の横を歩く。


『照れてねぇ、、、』


耳まで真っ赤にさせ俺は呟いた。

ちくしょー…矢耶、帰ったら覚えとけよ。



バイクの駐輪場までただ真っ直ぐひたすら俺は黙って歩いた。

隣でずっとケラケラ笑ってる矢耶を軽くあしらって…




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