溺愛キング
通学はいつもバイクか車。

藍はまだ車の免許ないからeagleの運転手さんが送り迎えしてくれる。

時々自転車とかもあるけど

たいていはバイクかな。

高校は家から近い。

歩いて15分くらいのとこ。

お父さんやお母さん、お兄ちゃんや絢那ちゃんとかみんなが行ってた学校。

ちなみに付属高校だからエスカレーター式。

受験がないから高二なのにのんびりしてる。

いちを私立だけど並の高校。

特別賢いわけでもない。

どちらかと言えば馬鹿高。

規則もあって無いようなもの。

桐谷家も嬉埼家も至って普通の家庭なんだけどみんな私立。

お金有り余ってるわけじゃないのにさぁ―――…



「「「「キャァ―――!!」」」」



えっ?なにごと?

声がした方に顔を向けた。

朝から藍ファンがすごい。

道路を跨いだ向こうの歩道に他校のファンがいた。

藍ってすごいよね。

学校でも人気あるのに他校からもとかある意味感心。

ファンの子も何言ってるのかわかんないくらい叫んでる。

だから正直歩いて行くのは嫌だ。

近所迷惑だし何より藍を取られた気分になる。

ただでさえ目立つのに。


「ちっ……
煩せぇな。」


横から舌打ちと不機嫌な声が聞こえてきた。


「矢耶と静かにゆっくり登校することもできねぇな。」


握っていた手に力が入った。
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