猫箱
僕はいつものように人目を憚らず、学校の教室でグロテスクな猟奇殺人や拷問の歴史なんかが載っているアングラ雑誌を堂々とひろげて読んでいる。

ひとことで言ってしまえば趣味なんだけれど、なにもこういう雑誌だけではない。
ネットで人間の死体の画像を集めたりもするし、
本物の人間をつかった標本が展示してある博物館なんかにもよく行く。

人間に「裏」と「表」があるならば、そんな人間の「裏側」の出来事が好きだと言えばわかるだろうか。人間の暗く、陰湿で残虐なところを知るのが好き。見るのが好き。
誰もがいつの時代も隠し続ける、「裏」を見るのが好きなのだ。

ま、簡単に言えば怖いもの見たさ、かな。

一般人がホラー映画を見るのと一緒。僕の場合、題材は「死霊」とか「幽霊」みたいなそんな抽象的なものじゃなくて、現実の「人間」ってところか。
「ホラー」や「オカルト」に似ているけど別物だ、というのが難しいところ。

一般人からはきっととても異常で異様な人物に見えるのであろう僕は、当然クラスでも浮いていた。僕に話しかける物好きな奴なんて当の昔にいない。
僕の性格も多少捻くれている…自覚してる。
人に異常に思われるこんな趣味諸好だけれど、僕は高校2年生。
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