地味子の初恋
「ちょ…!」
グイグイと引っ張られ、今はエレベーターの中。
「ちょ、ちょっと待ってよ!こ、ここどこなの?」
ちょうど、7階についてドアが開く。
「俺の家」
エレベーターから降りて、すぐ瑠稀はドアの前で鍵を取り出し鍵を開けていく。
表札には相模の文字。
間違いなく、瑠稀の家だ。
「ちょっと待ってよ…あ、あたし!!帰るっ!」
直ぐ様、回れ右をした。
「ああん?」
「ぐえっ!」
間髪入れずに、瑠稀にシャツの襟元を捕まれ捕らえられてしまった。
う…首が苦しい。
「テメェに、拒否権はないって何度言えば分かるんだ」
「だ、だって!あたし、男の人の家に入ったことないし」
瑠稀があたしに何かするんじゃないかって、勘違いするほど身の程知らずなわけではないけれど。
やはり、どうしたらいいのか分からない。
「うるせ。ブスなオマエが男の家に入ったことないなんて、言われなくたって分かってるんだよ。つべこべ言わず、とっとと入りやがれ!」
勢いよく、背中を押された…
というか、蹴られた。
拍子に、玄関で転んでしまった。
うう…痛い…。