華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
―――――――――…
トントントン…
楓が目を覚ますと、珍しくリビングから包丁の音が聞こえた。
エリカが料理してるのかな?
いつぶりだろう…!
そんなことを思いながらリビングへ出てみると。
「ああ、お前が“楓”だな?」
背の高い、優しそうな雰囲気を持つ男がいた。
リビングにはエリカの姿はなくて。
料理をしているのもその男だった。
「俺はゴウっていうんだ。よろしくな。」
薄く微笑んだゴウは、再び楓からまな板へと視線を戻した。