「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

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「そっ…かぁ…」


沙織から早咲さんの部屋からここに来るまでの事や、赤坂さんが朝までずっとそばにいてくれた事を聞いて胸がズキンと痛んだ。



「そっかぁ…やっぱり…現実だったんだ…早咲さんとのこと…」


そっかぁ…。


自分のことなのに…なぜか他人事のように感じた。


多分…ほとんど記憶にないからだ。

それはそれで問題だけど。された行為の記憶は本当に思い出せない。

できることなら、このまま思い出したくないって思ってる。


思い出しても…きっと早咲さんへの憤りや憎しみの気持ちが増えるだけ。


もう、忘れたい。だから…思い出したくないよ。


「もう。終わったことだよ早咲さんのことは」


強がって笑ってみせた。そうしないと、あたしも茜も今にも泣いちゃいそうだったから。

もう…早咲さんのことで泣きたくないよ…。



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