「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー
【誠side】
久しぶりに来た沙織の部屋。
変な緊張感が体中を巡り喉が渇いて生唾を飲み込んだ。
「どうぞ…」と案内されて中に入ると、不自然に片付けられた部屋には段ボールがアチコチに積み上げられていた。
「なんだー…?これはー…」
どうして段ボールがあるんだ?
困惑した瞳を沙織に向けると、口角を少しだけ上げて悲しげな笑みをこぼした。
「沙織?お前…どこかに引っ越すつもりでいたのか?」
「…う…うん。近いうちにー…ここを離れようと思ってたの」
ここを離れる?それはどういうことだ?
ここを離れるだと?
「転勤の辞令でも出たのか?」
状況を飲み込めていなかった俺の口から出た言葉に、沙織は小さく首を横に振った。