「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

沙織に背を向けたまま、ゆっくりと歩き出した時だった。


「待って!!」



沙織の叫び声にピタリと足を止めた。

「お願い。待って…はなしをー…きいてー…」



震える声に振り返り沙織を見ると大粒の涙が綺麗な瞳からポタポタとこぼれ落ちていた。



「沙織…?」



駆け寄る俺のYシャツを両手で掴む沙織の頬にソッと触れて涙を拭った。



その俺の手に自分の手を重ねる沙織。「愛してる…あたしも…愛してる」と静かに告げた。



その言葉が嬉しくて、抱きしめる俺から「待って」と離れる沙織。



「どうしてー…?」

俺を愛しているなら、どうして俺を拒んだ?


沙織の意図が見えなくて、すり抜けてしまいそうな沙織をこの手に抱きしめたくて近寄る俺から離れる沙織。

「どうしてー…?」

「あかちゃん…がいるの…」


「えっー…?」



「あたしのお腹の中…あかちゃんがいるの…妊娠したの…」


えっー…?妊娠………?思いもしなかった言葉に一瞬、全思考が止まった。




< 349 / 372 >

この作品をシェア

pagetop