「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

「けどさぁ、なんか辛くない?」


「なにが?」


今度は5円玉の棒を手に取りテーブルの角で2つに割ってレジの中にいれた。


「彼女いるの分かってて好きでいるのって辛くないの?」


その言葉は、グサリと心臓に突き刺さる。


「辛いよ…スンゴク」


思ってるだけでいい。

好きでいるだけでいい。

時々、笑ってる顔を見られるだけでいい。


そばに…いるだけでいい。



この恋に許されることはそれだけだから。


それ以上求めたら、きっとあたしは自分の気持ちを抑えきれなくなる。



今みたいに、遠くで微笑む彼を見るだけの日々に我慢できなくなってしまう。


この思いは、心の奥の扉の中の箱に閉じ込めて鍵をかけなきゃいけないんだ。


そう心の中に言い聞かせてレジを閉めると同時に彼の笑顔を見て開きそうになる心の鍵をガチャリと閉めた。



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