新撰組~変えてやる!!

 「葵~!!復活したで~!!」

 葵がいた部屋に突如入ってきたのは、この部屋のもう一人の住人、山崎だった。

 「うん、良かったね…」

 「なんや…?やけに素っ気ないなぁ。ぁ…そや、葵…これ、副長が返したれて言うさかい、返すわ。」

 山崎が手に持っているのは、自分の鞄だった。こちらの時代に来た際に、落としていたのだろう。

 「ありがとう。でさ、お願いがあるんだけど…いい?」

 「ん?なんや?」

 葵は手に持っている簪を握り締め、山崎の目を真っ直ぐに見た。

 「…着物……女物の、貸して?」

 「な~んや、そんなこっ!?……着物!?何すんねんな…」

 葵は手の中にある簪を見せた。

 「…芹沢局長からもらったの。だから、一回くらい合わせてみたいと思って…それに芹沢局長からの手紙も、お梅さんや雫さんに渡したいから。」

 「それで着物か…よし!待っときや!!確か、この辺に合いそうなんしまって…お、あった!!」

 山崎は何枚もの着物の中からそれを取り出した。

 「…きれい…」

 「せやろ!」

 葵は山崎の言葉に頷いた。薄い水色が、下へいくほどに、瑠璃色になっていく。袖の辺りと膝の辺りには、白で桜の花を散らしてある。

 「着方、わかるか?」

 「…わからない。」

 山崎は葵の後ろに回った。

 「とりあえず、今着てんの脱ぎ?ぁ、上だけやで?で、脱いだら、まずこれ着て、そんで今俺が持ってるやつ着るんや。」

 葵は躊躇い目を泳がせていたが、後ろにいる山崎にそれがわかることはない。

 「何、躊躇っとんねんな。晒し、着けてるやろ?」

 「まぁ、ね…」


 
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