新撰組~変えてやる!!

 「どうしたの?葵、なんか悪い物でも食べた?」

 「へ?」

 朝食後、日当たりの良い場所に座っていた葵は、面食らったように庭で話していた藤堂の方を向いた。

 「…俺、そんなにおかしいか?」

 「ん?そうだな。鼻歌歌ってるなんて珍しいよな…。」

 葵は永倉の言葉に、更に面食らった。追討ちをかけるように原田も口を開く。

 「どっかで頭、打ったか?」

 「……みんなして酷いな…そんなにおかしいもんか?」

 葵はピョンと庭に降りた。草鞋<ワラジ>を引っ掛けて、3人の元に行く。

 「いや、俺は別にいいと思うぞ。ここはさ、まぁ言ってみれば変わり者が集まってるだろ?俺は例外だがな!!」

 永倉が胸を張って答えるとほぼ同時に、原田の鋭い突っ込みが入った。永倉が叩かれた後頭部を抑えながら、涙目で原田に抗議している姿を葵は笑いを耐えながら見ていた。

 「そうだ、葵!!僕達さ、今、甘味処でも行こうかって話してたんだけど、一緒に行かない?」

 「ん?…ぁ~…、ごめん。俺、夜の方の見回りもあるから。」

 葵の言葉に永倉が素早く反応を示した。

 「夜は源さんと斉藤のとこだろ?それに朝の見回りだって葵だったし…」

 「まぁね。源さんが体調壊したらしくてさ…“代わりに出てくれ”って副長に頼まれたんだよ。」

 葵は近くにあった木に背中を預け、腕を組んだ。

 「それも総隊長の役目かぁ~!?元々細っけぇのに、それ以上無理したらそのうち無くなっちまうぞ!?」

 「そう思うんだったら、体調管理、ちゃんとしとけよ。そういう訳だから。甘味処には行けないや。ごめんな。」

 葵は申し訳なさそうに小さく笑い、自室へと足を向けた。

 永倉の声が聞こえた気がしたが、何を言っているのかまではわからなかった。葵は“行ってらっしゃい”と“ありがとう”の意味を込めて左手を軽く挙げた。

 
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