新撰組~変えてやる!!

 「…そう言う貴様こそ、手が震えているぞ?」

 「……ッ…!?」

 葵はカタカタと震える手を落ち着かせようと深呼吸した。

 「…さっさと仕事を終わらせたい。貴様程度なら、俺を使わなくとも殺れるだろうに上の奴等は何を考えているのか…」

 葵は気だるそうに言いながら、全力で襲い掛かってきた男の刀を、自身の刀で受け止めた。

 「…っ…くっ…」

 「…何だ…強いんじゃないか…そう来なくっちゃ!!面白くなりそうじゃねぇか!!」

 男は楽しそうに笑い、葵から離れた。葵は、刀に意識を集中させた。

 「……小宮流は攻撃する為のものじゃない…守る為のもの!!」

 葵は、襲い掛かってきた刀をよけた。しかしそれは、葵の左腕をかすめていった。葵は次に来る攻撃に備えた。その最中も、男の顔は楽しそうに笑ったままだった。





 どれ程時間が経ったのか分からない程、葵は集中していた。体の至る所が痛く、息も荒くなっているが葵は気にもせずに次に仕掛ける攻撃、襲ってくる攻撃、どうやってかわすかを考えていた。

 「っ!?」

 男の攻撃で葵の刀が真っ二つに折れた。キィンと音を立てて折れた刀の先は、葵の足元に突き刺さった。葵は咄嗟に使い物にならなくなった刀を捨て、もう1振りの刀を抜いた。

 「葵っ!!」

 葵にとって聞き知った声に、目の前の男が舌打ちした。

 「……邪魔が入ったか…まぁいい……次は確実に殺す…幸運だったな。名を教えておいてやる。…よく覚えておけ……俺の名は、玄鶴<ゲンカク>だ。」

 その男はそう言って、暗闇の中へと走って行った。

 「くそっ…待て!!」

 葵は隣に来た斉藤に気付かず、男ー玄鶴を追い掛けようと足を動かした。しかし、その途端に全身の痛みを強く感じ、その場にしゃがみ込んだ。

 「大丈夫か!?」

 焦り、心配する斉藤の声を聞きながらも葵の意識は玄鶴から離れなかった。

 
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