新撰組~変えてやる!!

 「…………。」

 「………………。」

 襖をあけて、葵は固まった。中に居た山崎も、同時に固まる。

 「……、こんにちは。女装姿の監察方、山崎 丞さん。」

 葵はサッと部屋の中に入り、廊下に誰もいないことを確認してから襖を閉めた。

 「これから仕事?昨夜はどこに居た?」

 葵は山崎の目の前にすとんと座り、聞いた。

 「た、隊服やな…似合ってんで、葵。これでれっきとした俺らの仲間―」

 「話をそらすな。昨夜はどこに居た?仕事で女装?」

 山崎はスッと目をそらした。

 「目をそらすんじゃない。丞、答えてよ。」

 葵は睨みつけるように、山崎を見た。

 「…………、っ負けた。長州の動向を探りに行くんや。長州の者が出入りしてる、いう噂があるさかい、副長から命令が出たんや。」

 長い沈黙が続いたが、観念したように山崎は、両手をあげて言った。

 「そう…」

 「じゃぁ、俺は行くで。」

 山崎は立ち上がり、襖へと向かう。

 「丞…、気をつけて…。」

 「当たり前や。…葵も気ぃつけや。」

 山崎は、ボソッと呟くように言ってから部屋を出て行った。

 「はぁ…」

 葵は溜息をつき、畳に横になった。烝と睨めっこしてる間に、日は真上に昇りつつあった。もうすぐ見回りがあるはずだ。葵は、ゆっくりと立ち上がり、部屋から出た。




 「あの…、えっと…」

 葵は門の前で隊服に身を包んだ、男性2人に声を掛けた。

 「えっと…一昨日入隊した…小宮さんでしたっけ?」

 「はい!!あの、沖田さんは…?」

 葵は青年に問い掛けた。

 「沖田さんなら、もうすぐ来ると-」

 「皆さ~ん、遅れてすいませ~ん。」

 青年の言葉を遮り、沖田の声が聞こえてきた。

 「来ましたね。」

 青年は、葵にフッと笑いかけた。


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