新撰組~変えてやる!!

 「よくも、よくも!!よくもてっちゃんと康兄を!」

 葵の目の前の男は泣き叫びながら葵に斬りかかった。

 「っ!?」

 男の振り下ろされた刀を避けた時、葵の左手の甲にピリッとした痛みが走った。目の前の男に少し斬られたと気付くのに、そう時間は掛からなかった。

 「康兄の仇!覚悟!!」

 男は葵に突進してきた。苦しいほどに心臓が脈打つ。

 「……ごめんなさい。」

 葵は突進してきた男を軽々と避け、その背に刀を浴びせた。

 「…康、兄ぃ…てっちゃ……ん…」

 男は悲しげに呟いて、息絶えた。葵は血濡れた刀を持ったまま月を見上げた。

 「小宮さん、大丈夫でしたか?こっちはもう終わりましたよ?」

 「はい、こっちも終わりました。」

 葵は、沖田に視線を移した。

 「屯所に戻りましょう。土方さんに報告しないといけませんから。」

 葵は頷き、血濡れたままの刀を鞘に納めようとした。

 「こ、小宮さん!?そのまま納めてはいけません!!…もしかして、初めてですか?」

 「…はい。」

 沖田は申し訳なさそうな顔をしてから、手を伸ばしてきた。

 「………?」

 「刀、渡してください。」

 葵は沖田に刀を渡した。沖田は胸元から懐紙を取り出し、それで刀についた血を拭いた。

 「…すいません、無理をさせてしまいましたね。」

 そう言って、沖田は刀を葵に返した。

 「いえ…こちらこそ、何も知らなくて、すいません…ありがとうございます。」

 葵は、そう言いながら刀を鞘に納めた。

 「よければ、一君に頼んでみましょうか?彼は、刀に詳しいですから。手入れの仕方も分からないのでしょう?」

 「はい。ありがとうございます、沖田さん。」

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