新撰組~変えてやる!!

 屯所に戻った葵と沖田は、土方の部屋へそのままの格好で向かった。

 「土方さ~ん!入りますよ~?」

 沖田はやはり、土方の返事を聞く前に襖を開けた。

 「総司、てめぇ!!」

 土方は振り返りその目に入った光景に息をのんだ。

 「……どうした。」

 真剣な眼差しと声に、葵は後ろめたいことをしたかのようにギュッと自分の袴を握った。沖田の格好は袴に少し血がついている程度だったが、葵は全身血まみれになっていた。

 「長州の者を5人、斬りました。後始末、お願いしますね。」

 「あぁ……小宮…」

 葵は、土方の言葉に思わず身構えた。

 「な、なんでしょうか?」

 土方は葵の様子に苦笑いしてから、沖田に山崎を呼んでくるように言った。沖田は分かりましたとだけ言って、部屋を出て行った。

 「……大丈夫だったか?」

 「………?」

 葵は、唐突な土方の質問に首を傾げた。

 「人を斬ったのは、初めてだろ?」

 「っ…!!だ、大丈夫です…。」

 葵は土方から目をそらした。土方は大きな溜め息をついた。

 「無理しなくてもいい。怖かったんだろ?…誰でも、最初は怖いもんだしな。」

 葵は握っている袴を、さらに強く握った。

 「失礼します。副長、お呼びですか?」

 葵は襖の外から聞こえた声に、ビクッと体を揺らした。

 「あぁ…入れ、山崎…」

 襖を開けて入ってきた山崎は驚きに目を見開いた。

 「葵!?どないしたんや、その格好!?」

 「…………。」

 山崎は葵の血でぬれたままの髪を優しく撫でた。

 「山崎、総司はどうした?」

 「なんや、斉藤はんの所に行くとか…」
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