トレイン


怖かった。不安が一気に狭いワンルームに充満した。今まで直ぐ隣にあると思っていたリカの気持ちが、知らず知らずのうちに離れていた。リカのことなら誰よりも理解しているつもりだったのに、今はリカの考えていることが全く解らない。

それから僕たちは今まで通り毎週デートを続けた。お互いに普段通り明るく振る舞いながら、どこか気持ちの探りあいをしているような日々だった。一緒にいるのに、お互いが別のことを考えているような瞬間があって寂しかった。

今まで感じなかった4年という歳月が少しずつ肩にのし掛かる。結局あれからリカと別れ話について深く話すことはなかった。もし、リカと別れることになったら自分はいったいどうなってしまうのだろう。考えるだけで身体が引き裂かれそうになる。

何でこうなったんだ?僕はずっと自問自答した。確かに長い付き合いのな中で、リカがいることが当たり前になっていたのかもしれない。電話やメールの数だって、始めの頃に比べれば減っている。メールの内容も単調だ。
しかし、リカのことをないがしろにしたことは一度も無いつもりだった。

< 10 / 25 >

この作品をシェア

pagetop