トレイン
「ユウトはさあ、いつもアタシに優しくしてくれるじゃない。アタシがわがままいっても、いつも甘やかしてくれる。アタシが仕事のことで泣きごといっても、大丈夫だよって頭を撫でてくれる。それがユウトの優しさだってわかってるけど、でも、それに甘えてばっかりじゃ自分が成長出来ないって思たの・・・・」
僕はまだ鼓動の早い心臓の辺りを手で押さえながら、リカの話に小さく相づちをうった。
「ユウトはいつも静かにアタシの話を聞いて優しく励ましてくれるけど、たまには怒られたり、喧嘩だってしたいと思ってたんだよ。ユウトはアタシが悪い時でも絶対に怒らないし、全部笑って許してくれるでしょ。嬉しいけど、もの足りないなって思う時も正直あった」
リカのいっていることに思い当たる節はいくつかあった。確かにリカと付き合ってから、ほとんど喧嘩らしい喧嘩はしたことがない。4年間も付き合えばぶつかり合いそうな時は幾度かあったが、その度に僕は感情的になるのを抑え、リカの怒りが過ぎ去るのを待った。