神様の暇潰し? 〜 The love story of mask human 〜
「はぁ…はぁ……お母さんお願い!!」
俺が意識を取り戻した時、誰かに抱かれていた。キツく抱き締められているせいで顔をあげられないため助けてくれた女の子の顔を確認出来ない。
呼吸が荒く、肩で呼吸しているのはきっと雨の中を走ってきたからだろう。
「ウチは動物飼わないって言ったでしょう?」
たぶんこの子のお母さんであろう人の声だ。今の一言で大体状況を察することができた。
つまりこの女の子は学生寮の前で雨の中、気を失った俺を見付けた。そのままにすることが出来ずに走って自分の家まで連れ帰ってきたが、それを認めないお母さんに動物を飼うことを反対されているのだろう。
「でも……このままじゃ猫さん死んじゃうよ!」
懸命にお母さんを説得中のこの声、聞き覚えがある気がする。しかも凄く親しい間柄な気がするのだ。それにお母さんの声も何だか聞いたことがある。
「陽奈……」
――陽奈!?
キツく抱き締められていたが、無理やり顔を上げた。そこには今にも泣きそうな表情で懸命にお母さんにうったえている中村陽奈の姿があった。
「私が猫さんのお世話するから! 毎月のお小遣い、猫さんのエサ代にしていいからっ!」
普段は見せない陽奈の横顔。幼なじみの俺でも見たことがないその横顔。一瞬だけ大人っぽい陽奈を見れた気がした。
「一週間!」
「ふぇ……?」
少しの間考えたお母さんが左手を腰に当てながら右手の人差し指を立てて陽奈に言う。
「一週間、陽奈の様子を見て判断するわよ。もし、一日でも猫ちゃんのお世話サボったら、嫌でも何でも公園に捨ててきます。いいわね?」
「うん、わかった! ありがとうお母さん!」
さっきまで今にも泣き出しそうな表情だった陽奈だったが、パッとその表情が明るくなった。そしてお母さんにお礼を言った後、すぐに自分の部屋に俺を連れて向かった。