こんな僕たち私たち
「大体どうしてお前が当たり前みたいな顔で七緒先輩ん家にいんだよ。ずうずうしい女だな」

「…ずうずうしい?」

 今の台詞はかなり聞き捨てならない。

「ちょっとちょっと、ずうずうしいのはどっちだっての。あんた自分の事棚に上げすぎだから!」

 あぁまた始まったよこんちくしょう、と呆れ気味に遠い目になる七緒。

 が、出会って2日で既に犬猿の仲になりつつある禄朗との火花はもう消せない。

「は、オレのどこがずうずうしいんだよ?言いたい事言うために来たんだっつったろ」

「ふん、私には料理教室っていう正統な目的があるんですー。誰かさんみたいに突然押し掛けたわけじゃありまっせーぇぇん」

「料理だぁ?お前の作ったもんなんか食ったらそのまま死ん……」

 死ん…って何よ(まぁ大体想像つくけど。『死んでしまうほど美味しいんだろうなぁ』とか続くとは思えないし)。

 中途半端に言葉を切った禄朗はじっと私の顔を見て、

「へーぇ…」
 突如、意地の悪い笑みを浮かべる。

「…何笑ってんの」

 そう問うと禄朗は、一層不敵に口角を上げた。

「そーかボサボサ、お前…」

 何なんですかこの人。
 ……めちゃめちゃ嫌な予感がするんですけど…!!

 が、沸き上がる緊張感のあまり、酸欠金魚よろしく口をぱくぱくさせる事しかできない私。

 そしてまだまだ極悪スマイルの禄朗。真っすぐ私を見据えると、大声で言う。

「お前、七緒先輩の事好きだろ!」
< 115 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop