出来ちゃった恋愛
それから帰ってきたサキのママに挨拶をした。



優しい顔で言ってくれた言葉は『頑張りなさい』と一言。



見守るだけだと言ったのに、サキがお風呂に入ってる間に渡されたのはサキ名義の通帳だった。



「どうしてあたしに…」

「咲都が選んだ人だから。あたしはユズちゃんを信じてるの。それに咲都に渡したらなくなっちゃいそうだし」

「でもこんなに…」

「ふたりで暮らすもよし、なにに使うかは自由だから。大事にしてね?」



泣きそうになった…。



こうして助けてくれる人もいるんだ…。



やっぱり頑張らなきゃ…。



唯一持って来た自分のものは携帯だけ。



ママの番号を出して通話ボタンを押した。



「今どこにいるの!!」

「サキの…家にいる。ママ、あたしは絶対産むから」

「そんなことしたら勘当よ?」

「それでもっ!!あたしはこの子とサキを守る」



呆れたようなため息の後、落ち着いたら連絡すると言われて電話を切った。



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