青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「中学の時、学校がダリィ。教師ウゼェ思っているメンバーが集まってデッケェ寄せ集めグループができた。そん中にヤマトがいたんだ。
今ツルんでる面子も、その時のグループに属していた。ココロと弥生はいなかったんだけどな……」
ということはワタルさんやシズやモト、響子さんに先日病院に送られていたハジメっていう不良はみんな、中学時代にツルんでいたってことか。
俺は敢えてヨウに何も聞かず、心の中で話を自分なり解釈する。
「ツルんでた奴等と一緒に喧嘩に明け暮れて、学校サボッてはハシャいで……そんな調子のいいグループだった。似たり寄ったりの理由で集まった奴等だ。
ワリと気が合う奴等ばっかだったけど、俺はヤマトといっつもソリが合わねぇでいた。
まあ、中にはそういう奴もいるだろって分かっていたつもりだった。ンだけど、気が付けばいつもあいつと口論になっていた」
最初から日賀野とヨウは仲が悪かったってことか。
そういう奴いるよな。
出逢ったその瞬間、外見とオーラだけで「こいつと俺じゃ無理そうだ」って感じる奴。
俺もそういう奴に何人も会ってきた。
極力そういう奴とは関わらないようにしてきたけど、ヨウの場合はそうもいかないよな。同じグループに属していたんだしさ。
「考えがいつも正反対だったんだ。俺とヤマトは。俺が白って言えば、あいつが黒。あいつが下って言えば、俺は上って答えるみてぇに、いっつも考えが正反対だった。
ヤマトと口論する度に『クソ、何だよコイツ、舐めているのか。ウゼェっつーんだ。いっぺん地獄に叩き落してやろうか?』って思っていた」
日賀野も随分ヨウを嫌っていたけど、ヨウも大層日賀野を嫌っているんだな。
盛大な舌打ちをするヨウに思わず目を背けてしまう。不良のご立腹姿ってやっぱり恐いっつーんだ。チクショウ。
「それでもグループは秩序を保っていた。当然だよな、俺とヤマトの仲に問題があるだけでグループ全体には関係ないことだから。
ンだけど、ある日、二つのグループに分かれちまう出来事が起きた」
「出来事?」
「当時俺達は、地元で一番有名な不良グループを伸した。高校の不良グループを俺達中学の不良グループが解散にまで追い詰めたんだ。高校の不良グループに仲間の何人かがヤラれてさ、敵討ちをしたんだ。
けどなその追い詰めたやり方があまりにも狡かった。喧嘩っつーより騙まし討ちだな。ありゃ」
もっと別のやり方があったんじゃないか、真正面から勝負を挑んでも伸せないことはなかった。
追い詰めた狡いやり方にヨウは反感の念を抱いた。ヨウを中心に、ワタルさんやシズ達も反感を抱いた。
だけど日賀野を含む複数の不良は勝ったモン勝ちだと、自分達もこの手に乗ったクセに何を偽善ぶっているんだとヨウ達の意見に反感を抱いた。
つまり、ヨウ達は卑怯な手を使ってまで勝ちたくなかった。
真っ向勝負を挑みたかった。これではヤラれた仲間達だって自分達だって納得しない、と主張。
一方、日賀野達の言い分はこうだ。目的は敵討ちじゃないか。
もともと高校の不良グループと真っ向勝負するなんて分が悪いに決まっている。
これ以上仲間を怪我させるにはいかなかったではないか、と主張。
どっちが悪いってわけじゃない。
どっちも道理に合った意見を述べているからお互いに対立、何度も諍いが起きて亀裂が生じ、ついには二つのグループに分かれたんだ。
二つのグループに分かれた両者はその後、顔を合わす度に火花を散らした。中学卒業して別々の高校に進学しても、それは変わらず今現在に至る。
ヨウはそう俺に話してくれた。