青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
けれど、やればやり合うだけ結局は傷付く。お互いに。
仲間が傷付くのは正直、リーダーとして見ていられない
「ヤマト、俺は馬鹿みたいに自己主張をするのをもうやめにしようと思う。
俺達には俺達のやり方や考えがある。リーダーがこんなんだから直球・真っ向勝負ばっかするチームだ。この考えを変えるつもりねぇ。
そうやって真っ直ぐに仲間を守るのが俺のポリシーだったりするわけだ。
だからテメェ等のやり方を今まで散々認められなかった。
作戦を使って、効率的に勝利をおさめようとするまどろっこしいやり方が俺の肌に合わなかったんだ。
まあ、俺は馬鹿だから? 頭より体を使う方が好きだったりするわけだし?
……けどテメェ等を否定する権利は結局無いんだと思い直した。
テメェ等の力があってこそ、今回は勝てたんだしな。
いつぞか俺はテメェやテメェのチームを認めねぇっつったけど、そりゃ撤回する。
また五十嵐みてぇなのが出てきたその時のことを考えると……ヤマト、俺の言いたいことはもう分かるな?」
「……フン、俺は俺のやり方を変えるつもりはねぇ。貴様の言う“卑怯”が仲間を守れるためなら、俺は喜んでそれを使う。
いいな、荒川。俺達は貴様等に負けるつもりはねぇし、考えを改めるつもりもねぇ。仲間を傷付ける日がくりゃ、俺は容赦なく貴様等を潰す。
だが貴様の案に妥協はしてやってもいい。
どうせこっちの仲間にも言ったんだろうしな。貴様の考える、協定継続と停戦案に乗ってやる。
ま、これが何処まで守れるか。俺には疑問なところだがな」
まどろっこしい言い方だ。
そこはストレートに受け入れると言ってくれたら良いものを。
「テメェって偏屈ばっか言うけど、あれだな。ただ単に捻くれているだけだな。フツーに返事すりゃいいのに」
「単純馬鹿ノミクズよりはマシだ。話が終わったなら、さっさと帰れ。俺は寝る」
ヒクリ、ヨウはこめかみを軽く痙攣させた。
この男、やっぱりいけ好かない。
実力や考え方は認めるが、だからと言ってそいつのことに好意感を持てるかと問われると、それは否である。
怪我人でなければ喜んでその態度に喧嘩とつばを吐きかけてやりたい。
「ったく」
ヨウは鼻を鳴らし、持参していたビニール袋を相手の腹にのせて立ち上がる。
「あ゛?」
何だこれ、ヤマトの疑問に見舞い品だと肩を竦めた。
「テメェは一応怪我人だからな。手ぶらで来るわけにもいかないだろ」
「なるほどな。すると明日は地球の破滅か。そうか。人類は滅びるんだな。短ぇ人生だった」
にゃろう、人の好意を。
一々々々いけ好かない態度を取ってくる男を殴り飛ばしたい衝動に駆られたが、どうにかこうにか感情を抑え込む。
相手は怪我人、怪我人、怪我人、喧嘩を売ったらこっちが大人げないと馬鹿を見ることになる。落ち着け、俺。
こめかみに青筋を立てつつ、ヨウはベッドの住人に告げる。
「協定継続と停戦はするが、仲間には手ぇ出すなよ。テメェが俺に言ったように、俺もテメェ等が仲間に何かしようもんなら……こりゃすぐにでも白紙にする」
軽く敵意を剥き出すヨウを鼻で笑うヤマトは、「どうだか」生返事をしてきた。
ムッと眉根を寄せるが、刹那、ヨウは一変して微苦笑を浮かべると扉の取っ手に掴み話題を切り替える。