青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―




同じく病室。



「ったく、あの野郎。デガバメかよ。おい帆奈美、グルだったんじゃないだろうな?」

「それは言い掛かり。私、無関係」



クスクスと絶え間なく笑声を漏らしている帆奈美はビーフ・ジャーキーやポストカードを仕舞って綺麗に口を縛る。と、足元にもう一つビニール袋が。


ヨウの忘れ物だろうか?

帆奈美はそれを取って中身を開く。ついつい綻んでしまった。


「ンだよ……」


不機嫌な眼を向けるヤマトに、「これ」中身を差し出す。


帆奈美の手にはセブンスターという銘柄の入った煙草と缶ビール。


ヨウがこっそり置いて行った、もう一つの見舞い品だった。


一応彼なりに心配の気持ちはあったようだ。



「ッハ……胸糞悪い奴。明日はやっぱり地球が滅びるんだろうな」



素直に好意を受け止めないヤマトに一笑し、帆奈美は目尻を下げた。



少しだけ皆、あの頃の関係から脱皮して前進している。そんな気がする。 



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