それでも好き
廊下には、虚しく泣き声だけが響いていた。


俺と翠の両親は、翠のもとへ行った。


「あっ…大森君…?」


翠は、虚ろにあいた目で俺を見つめた。


「み、翠…。昨日、ほんとにごめんな?」


俺は、泣きそうな感情を抑え、謝った。


「あたしこそ…、ごめ…ん…ね?あんな事しか…言えなくて…。」


今にも消えそうな声で話す翠。
こんな事なら、今日、行けるって言えば良かった。


「き、今日は、イルミネーション…、行けなかったけど…元気に、なったら…いきたいな…」


「うん…行こうなっ…」


ダメだ。
狂ってしまいそう。


「そんな…顔…しないで…?」


翠は、心配そうな顔でみてきた。


「大森君…?あた…し、大森君が…だいす…き。」


その瞬間、握っていた俺の手から翠の手が離れた。


ピーっ


「翠ーっ!!!!!!!!!!」


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