君想論 〜2人のサヤカ〜


「はぁー……」


“サヤカ”はドッと溜め息をついて天井を見る。


「虫酸が走るな……反吐が出る……癪だ……マジでムカつくよ……」


何やら物騒なことをブツブツと呟き、




「けど、清花の為だ。我慢するしかないか……」


そう言って、少し……ほんの少しだけ笑みを浮かべた。

コレでも一応、コイツが見せた中では一番良い表情だ。

いつも無愛想で短気で喧嘩っ早いヤツだが……


こうして見ると、根っからの悪いヤツではないようだな……

人を思いやる気持ちは最低限あるんだ。

[人間]としてのギリギリのボーダーラインは難なくクリアしている。




「随分と“清花”を大切にするんだな……お前」


何気なく口から出た言葉に対し、またしても鋭い視線でオレを睨んだ。


「当たり前だ。清花を傷つけようとするヤツはあたしが許さない」


……そう言えば、初めて[梧 清花]の豹変を見た時、柿金が“清花”に対して思いっきりタックルしたんだっけな。


『主動権の移動は2人の話し合いによって決めているが、[強い意思]があれば、相手から主動権を強制的に奪い取ることができる』

(P.192より)


つまり、“清花”の身体を傷つけられたことにぶちキレて、あんなことになっちまったワケか……




「清花はあたしの全てなんだ。清花の為なら、あたしは何だってするさ……」


























「あたしはその為だけに生まれたんだから」


「……………」




< 245 / 249 >

この作品をシェア

pagetop